トピックス

2021年鋼板価格は昨年比1.5倍~2倍へ

『2021年度4月以降もメーカーの値上げ進む』
3月の予測通り年初からの鋼材価格の高騰は鉄鋼メーカーが強硬に進め続けています。
国内のものづくり市況はコロナ禍による需要の減退もあり、停滞を続けています。
しかし、鉄鋼などの素材メーカーは、中国の旺盛な需要・世界的物流網の回復の遅れ・資源生産国の生産活動の停滞・海上物流網の不安定さや各国における感染症対策による寸断など様々な影響による素材需要の世界的な活発化とコスト高にあおられ大きく価格上昇を宣言し続けています。
5月に向かっても世界的な需要増の鋼板及びコイル価格を約1割値上げと宣言しました。

20210331鉄鋼新聞
 
20210331日本経済新聞

 

『日本の鉄鋼業の存亡に関わる世界情勢』
日本経済新聞の4月5日から8日の4日間にわたり「瀬戸際の鉄鋼」と題して鉄鋼メーカーと鉄鋼業界の現状をクローズアップした連載記事がありました。
二酸化炭素排出ゼロを目指す世界情勢と大規模な投資による技術開発の必要性、それに向かっていかざるをえない企業の生産活動など、今後10年ほどの間で間違いなく訪れるものづくり産業の変革にどう鉄鋼業界は対応し、舵を切っていくのか、大きな転換期であると思います。その中でのメーカーの苦悩と世界各国の動きの速さに、日本の我々鉄鋼業界も先んじても遅れることは命取りになることであると考えざるを得ません。
ものづくりは大国中国の動きに翻弄され、最も近くで大きな影響を受けるのは私たち日本なのだと認識せざるを得ない状況であります。

20210405日本経済新聞

20210406-8日本経済新聞

 

『海外需要増に影響され日本の鋼板が品薄に』
中国をはじめとする海外の旺盛な需要は未だ勢いを保ち、日本の国内の需要は一部の回復により、全体の停滞感に逆行して鋼板類などがひっ迫しつつあります。そのため、輸出鋼板及びコイルの価格は上昇を続け昨年比1.5倍~2倍に近づく勢いです。国内メーカーは国内需要に充てるより輸出による利益確保をはかる政策に大きく転換しています。年初から続くオファーカットは国内コイル製品をひっ迫させ続けています。品薄によるコイル、鋼板、加工製品(角パイプ、型鋼など)の値上げは今後も続いていく状況です。

20210408鉄鋼新聞

20210414日本経済新聞

 

『内外価格差是正のため東京製鉄が5月契約を大幅上げ』
国内の鋼材価格では鋼板類を東京製鉄が5月契約で品物によっては1.3万円の値上げを表明しました。鋼板価格は2008年以来12年ぶりの高値水準になり、品物による価格差や逆転現象がおきるなど、いびつな価格構成になってしまいました。

20210420鉄鋼新聞

 

『海外需要の続伸、原料高に』

世界粗鋼生産はインド・中国がけん引して15%もの増加。その一方での温室効果ガス削減政策による中国鉄鋼メーカーは減産を急ぎ需給はひっ迫をする予想になっています。
さらに、資源供給国の生産が停滞し、鉄鉱石をはじめとする原料価格は高騰を続けています。

20210424日本経済新聞
20210429日本経済新聞

 

『6月度も日本製鉄鋼板値上げ』
日本製鉄は5月に続き6月度も鋼板価格を1万円~1.5万円値上げを通達してきました。2か月連続で大幅の値上げは過去に例のないほどのものです。昨年からの値上げ幅は累計4万円ほどに達し、品種によっては1.5倍から2倍に迫るものまであります。

20210428日本経済新聞・鉄鋼新聞

 

『値上げは予測の立たない異次元のレベルに』
値上げのペースや幅は私たち鋼材流通業者としては、もはや、異次元のものに達し、過去に経験のないステージになっています。私たち流通業界も海外情勢と国内メーカーの情勢に左右され放しで今後の予想が立つ状況ではなくなってきています。
今後は今まで大切にお付き合い頂いたお客様の需要にはお応えできるように価格も品数も都度都度の対応になりますが何とか欠品などの無いように努めて参ります。
一般鋼材・鋼板類だけでなく、2次製品・特殊鋼・磨棒鋼などの鋼材にも値上げの波は及び、今後も都度値上げを行って参ります。
なにとぞ、趣意ご理解の上、今後ともご高配頂けますよう、よろしくお願い致します。

2021.5.8
アダチ鋼材株式会社
info@adachi-k.co.jp