2022年初より原料・スクラップ高へ
『年初から原料高に』
2022年は年初より原料高の様相を呈してきました。スポット価格ではあるが、鉄鉱石・原料炭の価格が高止まりを見せ、昨年末に更新した過去最高値をさらに上回ってきました。年明けに一旦は価格が落ち着くかと思いきや、さらに高値で更新しました。
それを受けてアジアの鉄鋼相場を左右する中国の3月の国内価格も上昇に転じました。昨年来アジア市況は若干の弱含みではあったが春節前に一旦陥没した価格以上の値上げ幅を発表し今年の値上げ基調を助長する形となりました。
『2月に入りスクラップ高値を更新』
国内スクラップ相場は年末年始で荷動きに欠け、感染症や半導体不足の影響もによる国内工業生産の下振れによって、発生が大幅に減少しました。そのうえアジア市況の続伸も重なり年末から滞っていた関東鉄源の入札で6%UPで妥結しました。
高止まりしていたスクラップ価格の久しぶりの急上昇に市場は大きな戸惑いを隠せないが、今後も含めて価格上昇への警戒感を増しています。
『コスト高を反映して各社値上げ表明』
鉄鋼原料以外にも燃料・石油・LNGなどの値上げを受けてロシアやウクライナなどの資源国の情勢不安も受けて、まずは機械構造用の鋼材の値上げを車・機械向け発表しました。
電炉メーカーも一部反応し、大手鉄筋メーカー共英製鋼は5%の値上げを表明しました。
『東京製鉄3月販価4か月ぶりに値上げ表明』
スクラップ高を受けてすぐに東京製鉄が反応しました。昨年末来急上昇した市況への警戒感と製造各社の高値続伸への嫌悪感も加わって高値安定を狙っているかのようにステイを続けていた東京製鉄が一転再度の市況値上げへ動き出しました。
3月の売り出しをトンあたり3000円値上げし、今後の市況を上昇させる動きに転じました。スクラップ以外にも主原料の鉄鉱石や原料炭、原油高によるガス・電力高、さらには運送コストの増大、コロナ後の人件費の高騰などをすべて見込んだうえでのコスト高に対応しようとするものです。需給状況で見ても年度明けからの市場動向を需要が多く供給タイトな状況が継続すると見込んでいます。
『すぐに日本製鉄がH鋼販価値上げ』
電炉各社とは距離を置いていた日本製鉄が主要鋼材の値上げを表明しました。原料高の流れが今後も進んでいくものと考え、4月以降の新年度の鉄鋼需要の高まりも予想されるなかでの今回の値上げ表明は市場全体への高値に対する疲弊感からさらに上のステージへの転換を図る狙いを感じさせます。
『関東異形棒鋼も反応』
関東の異形棒鋼の値上げも13年8か月ぶりの高値を示すなど昨年の値上げに引き続きさらに値上げを表明する大きなきっかけとなっていきます。
『トヨタ部品鋼材2期連続2万円の大幅値上げ』
今後も止まらない鋼材値上げの基調を受けて日本製鉄とトヨタ自動車の部品用鋼材価格が2期連続での2万円という過去に例を見ない上げ幅で妥結した模様です。高値が止まらない鋼材価格を今後も押し上げる要因となるのは必至です。原料高、エネルギー不足、物流の混乱、感染症による人員の確保難など様々な要因が錯綜して今年の鋼材市況も大きく上がっていくことになりそうです。
2022.2.28
アダチ鋼材株式会社
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