鋼材価格上昇に供給メーカーの自社を守る決意
『トヨタの鋼材価格妥結にもメーカーとの亀裂は必至』
トヨタ自動車の鋼材価格(ひも付き価格)の妥結によって鋼材価格の上昇が周知されたことにはなりました。ただ、妥結額は2万円と本来の鋼材上昇幅とはかい離しています。
まだまだ今後も価格交渉は続いていくものと考えられます。しかし、これほどの大きな価格改定は過去にも例がなく、今後も上昇が見込まれる中でのお互いの亀裂が生じている可能性があります。調達先の転換や価格抑制を狙ってトヨタ側も大きな動きをすることは必至ですが、メーカー側も社運をかけた交渉になっていることが考えられます。今後は「供給保証」の態勢から「供給制限」の交渉も辞さない考えを示唆していることから両社の交渉は継続していくと考えられます。
サプライヤーは今までにない鋼材価格の高騰に企業の存続をかけて素材供給を継続できるように今後も活動を続けて参ります。
そのため、今後も本年の値上げ幅までの鋼材価格の上昇とその後の鋼材の安定供給への、努力を継続して参ります。
『厚鋼板1万円UP』
日本製鉄は厚鋼板の売り出し価格を1万円(トンあたり)値上げを表明しました。本年の年初からの合計で6万円の値上げになり、率にすると幅はあるもののおおよそ80%から90%近い値上げになる模様です。
『鉄鉱石もかつてない最高値』
高炉各社の鉄鉱石の調達価格もかつてない最高値をつけました。足元の鉄鉱石などのスポット価格が荷動きの若干の停滞をうけて落ち着く中ではありますが、今後の状況のひっ迫度を勘案しまだまだ需要は堅調な状態を続けるとの予想から、鉄鉱石価格は上昇を続けていると思われます。
また、自動車をはじめとするモノづくりの生産活動も今後は堅調な状況が予測されるため、まだまだ、鋼材価格の上昇を狙う局面は継続するものと予想されます。
『副資材も高騰継続、H型鋼も値上げ』
鉄鋼副資材も値上げが継続しています。最高値を14年ぶりに更新するなどまだまだ上昇基調に歯止めがかかりません。
そんな影響のため日本製鉄がH型鋼の追加値上げを表明し、条鋼類の今後の上昇が再起動する動きが出てきました。
鋼板類の上昇が年初に始まり、鋼材価格が大きく上昇傾向になりましたが、身近な大手モノづくりメーカーへの供給よりも修繕や建築の付属資材としての要素の大きな条鋼類はコロナによる市況ダメージを勘案して、鋼板よりはさほど大きな値動きになってはいませんでしたが、いよいよこちらも価格上昇に拍車がかかってくる模様です。
すべての品種に値上げの進行が行われる中、今年度中は価格上昇が大幅に進むことが必至となりました。
『モノづくりはサプライチェーン混乱』
半導体不足に端を切ったサプライチェーンの混乱によってモノづくり各社は影響を大きく受けています。自動車の需要はあるものの、部品の供給が間に合わず生産体制を見直して工場減産をせざるを得ない状況が続いています。部品供給、物流、資材確保などのすべての不安定さがモノづくりを進める各社の生産体制にひずみを生み、そのひずみが大きくなっている現状が継続しています。
2021.9.20
アダチ鋼材株式会社
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