鋼材相場だけでなくモノづくり大手にも値上げ浸透
『鋼材の品薄感は継続』
本年度はじめからの鉄鋼各社によるロール引き受けカットにより、夏場以降の鋼材の品薄感が大幅に進行しました。特にコラム製品の品不足が深刻化しいよいよ鉄骨工事の延期や見直しにまで波及してきています。
重ねて脱炭素の動きにより、特に中国国内高炉を停止し、電炉による鋼材生産へシフトするなどスクラップの使用が増加して品不足にプラススクラップ不足も進行しています。
『鋼材輸出のトレンドも続伸』
国内のスクラップ不足にも関わらず、鋼材全体の輸出量は増加トレンドを続け、国際市況の高値の推移を続ける要因になっている。
国際的な鋼材需要は上がることはあっても下がる要因はなく、今後も国内市況も上げ要因が高まっている。
『国内も海外もモノづくり需要は堅調』
夏場以降続く建築用資材(特にコラムなどの2次製品)の不足はさらに顕著になり、品物によっては半年待ち、ロール遅れなどの現象が顕著になってきました。オリンピック後の予定されていた物件や年後半の物件も見積もり直しや納期の調整などが進み、今後の引き合いも堅調を続けています。
また、自動車をはじめとするモノづくりの生産も夏場以降生産復調の計画を進めているため日本をはじめとするアジア各地の鋼材需要は今後も堅調なことが予測される状況が続いています。
『ついに自動車も半分以下ではあるが値上げ妥結』
鋼材の価格上昇を受けて、遅まきながら最大ユーザーのトヨタと日本製鉄が価格交渉が妥結した模様です。今回の妥結額は2万円とのことですが、日本製鉄が年初から値上げを唱えている総額6万円には遠く及ばず、自動車優位の状況がまだまだ続いていると考えざるをえません。
価格固定の現状の商習慣も含めて日々刻々と変わる国内外の鋼材を取り巻く状況も変化している現状を踏まえて、今後の値決めなどの商習慣そのものを見直す動きも取り沙汰され世界的な価格上昇を背景に今後もメーカーからの鋼材価格上昇交渉は過熱していくことは必至です。
2021.9.6
アダチ鋼材株式会社
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